エストニアで主婦から起業家になった・ゆうりさん【Youは何しにエストニアへ?No.2】

dancing-yuuri Youは何しにエストニアへ?

こんにちは。突然ですが、エストニアに住んでいる日本人(在留邦人)は、何人いるでしょう?

答えは、197人!(2021年2月時点)

留学生、起業家、会社員、主夫・主婦などなどエストニアに来てる日本の人にも色々いますが、今回は、主婦から起業家になった友人のゆうりさんにインタビューしました。

「エストニアでビジネスを始める」という夫を信じてついてきたらまさかの売り上げゼロだったり、今度はゆうりさん自身がなぜかトルコ人達とエストニア無関係のビジネスを始めたり、はたまたタリンの海、バー、ショッピングモールで盆踊りを踊ったり……

ゆうりさんの奇妙で愉快なエストニア生活を覗いてみましょう。

👩🏻‍💻プロフィール

  •  名前:ゆうりさん
  •  やってること:エストニアでHyuuLinkを起業。主な事業はカスタマイズ動画
  •  趣味:盆踊り
  •  いた場所:日本・神戸🇯🇵→台湾🇹🇼→日本・神戸&東京🇯🇵→エストニア・タリン🇪🇪

提案書を作っただけで、「君は僕たちのインスピレーションだ!」なんでも褒める加点方式のトルコ人達

– エストニアで今何をしていますか?

今一番やっているのは、起業した会社のことかな。

– マフメット(ゆうりさんのトルコ人の友達)に誘われて起業したんですよね。具体的にどんなことやってるんですか?

マフメットの会社が、カスタマイズビデオを制作していて、そのカスタマイズビデオの技術を使って、私は日本市場向けに商品・サービスを企画・マーケティング・営業してる。

私みたいな立場の人が、他にもポーランド、ドイツ、ノルウェーにいるよ。彼らも同じように、トルコの開発チームが作ったカスタマイズビデオを使って、各国に商品を売っている。

yuuri-and-friends

左から2番目が、ゆうりさんの友達でありビジネスパートナーのマフメット。

– そんな多国展開だったんですね!

ドイツの担当は、マフメットのお兄ちゃんだから、めちゃくちゃ身内だけどねw

そもそも日本に展開するつもりはマフメットには無かったんだけど、エストニアに来て私と友達になって、日本展開しよう!っていうアイディアになったんだと思う。

– どういうものを日本向けには売るつもりなんですか?

今考えているのは、日本でキャラクターを持っている会社と提携して、私たちのカスタムビデオ技術を使って新しい商品を作ること。例えば、そのキャラクターのファンの人たちが、オリジナルビデオを作れるようなプロダクトを作りたい。

すでに日本のとあるキャラクター会社とミーティングをやったんだけど、意外と好感触だった!

– ゆうりさんは日本にいた時は、経理・財務やってたんですよね?今やってることと随分違うかと思いますが。

そう、私が日本でやってきたのって基本的に社内の仕事(経理・財務)だから、社外の人とのやりとりって全く経験なかったんだよね。

だから、このミーティングの前に、初めて社外向けの提案資料作ったんだけど、前職の癖で反射的に「社外秘」って押してて。

夫に、「そういうのは『御社限り』って書くんだよ」って言われて気付いた。そのくらい未知の領域。

– 気付いて良かった笑。

こんなに手探り状態なのに、「日本の会社向けに提案書書いた」って言ったら、トルコ人達は、「You’re so braveYou are an inspiration!!!!」ってすごい褒めてくる。

普通の会社だったら提案書だけでそこまで褒められることないでしょ。文化の違いなのかわからないけど、すごい加点方式なんだよね。

– それは嬉しいですね。

日本の会社で経理・財務やってた時は、完璧にできて当たり前で、もしミスがあったらすごい怒られるみたいな、減点方式だったんだけど、今は真逆。

実は、バレンタイン企画で出した商品が日本では1個しか売れなかったのね。

でも、それで責められることは全くなくて、むしろ「失敗は成功のもと!!初めてなんだからそんなに落ち込まないで!!」みたいにすごい励まされたり。

まあそもそも売り上げが伸びなかった理由の一つが、トルコ人達の準備がギリギリすぎたこともあるんだけど

– 他にも、日本で働いてた時と違うところはありますか?

昔は、会議とかあってもあんまり発言したりしなかった。大きい会社だったし、上にいるのもおじさん達だったし、「言っても別に変わんないだろう」って思っちゃって。

でも、今は言わないと大変なことになっちゃうから、発言するようになった。

トルコの会社が良いって思うものと日本人として良いって思うものってかなり違うんだよね。

例えば、日本で1個しか売れなかったって言ったバレンタイン企画の商品も、トルコでは300以上売れたりしたのね。

ヨーロッパの会社とかだったらまだ日本とは全く同じじゃなくても、まだ通じるものはあると思うんだけども…。

トルコ側も日本を知らないし、こっちもトルコを知らない。「それは日本人には受けないよ」って私が言わないと、こっちからすると本当に変なプロダクトが出来上がってきちゃう

向こうも意味わからんって思ってるかもしれないけど、こっちもこっちで意味わからんって思ってるからね。でも、元々の関係があるから、お互い遠慮なく意見できてるんだと思う。

最近トルコ側が一番力入れてるのが、スポーツファンに向けたカスタマイズ動画なんだけど、それも、ワルシャワのサッカークラブと契約を取ってきたみたいでびっくりしたよ。

それはすごい!

そのクラブのファン向けに、自分が選手を応援している動画を簡単に作れるっていうサービスをやるみたい。

vidisport

マフメットの会社のサービス(Vidisport

でも、私が作った企画書を見て驚いたりしてるのに、一体どうやってそんな契約取ってきたのか謎だよ笑。

あと、結婚式の招待状のカスタムビデオを作るサービスを開発しているんだけど、それはすでに日本だと類似のサービスがあるんだけど、トルコにはまだない。

日本ですでに商品化されているものを、トルコとかまだそういうサービスがない国で売って行く、「タイムマシーン経営」をしている感じ。これは唯一の日本人メンバーである自分が情報源にならないといけないから、やっぱり発言しなきゃってなる。

信じてエストニアまでついてきたのに、夫の会社の売り上げは0だった

– 仕事も普段の生活も楽しそうですが、エストニアで一番辛かったこととかありますか?

あるよあるよ。最初は何もかもが目新しくて楽しかったけど、落ち着いた半年後くらいが一番辛かったね。

結婚してエストニアに来たわけじゃん。エストニアでビジネスをしたいっていう向こう(夫)を信じて。でも結局、向こうが何してるのかもよくわからないし、「売り上げどうなってるの?」って聞いたときに、さらっと「売り上げ無いよ」って言われた時、それが一番辛かった

あの時は、ジムのプールで昼間から泣いたりしてたからね。

本当ですか?ゆうりさんが?!

ジムのプールから、その時住んでた家が見えるんだけど、「今あの人は家の中で何やってるんだろう。私選択肢間違ってるんじゃない?」って思いながら泣いたよ。

– その状態からどうやって立ち直ったんですか?

親とか友達とかに相談した。その頃は私が何もやってなかったから、暇だとそればっかり考えて悩んじゃって何もプラスにならないから、英語習いに行くなり、仕事探しに行くなり、自分が好きなことをやるのがベストだけど、最終的にお金になるようなことをやった方がいいよって言われて。

1ヶ月くらいは悩んでたけど、そのあとは行動し始めて、だいたい3、4カ月後くらいから、うまく回るようになって来たかな。

マフメットに今のビジネス案を誘われたり、就職活動してたときの縁で誘われたライターの仕事を始めたりして。同じ頃くらいから、夫の会社も仕事が出てきたし。

うまく切り替えたんですね。

昔は、環状線って言われてたの。大阪の。

大阪に、環状線っていうぐるぐる走ってる電車の線があるんだけど、それと同じように、一個悩むとずーっとそれについて考えてるような環状線タイプだったんだけど、でもこっち来てから、そういうことが少なくなったかな。

悩んでもしょうがないというか、人に期待しなくなった

初めは、夫に期待してた。「会社を建ててやって行くんだ!」って信じてついて来て。でも、結局それがよくわからない感じになった。それが一番でかいかな、考え方が変わった理由として。

自分にも期待してた。「日本語カスタマーサポートの仕事とかだったらすぐに見つかるだろう」って期待してたけど、就職活動も思うようには行かなかったし。

あと、トルコの人たちと仕事し始めると、「こういうプロダクトが出来上がるだろう」って思ったものは、絶対出てこないし。自分が思ったものは出きてこないってことを前提に、だったら自分で何が用意できるだろうって考えるようになった。

で、万が一、いいものが来たら、それはより喜べるじゃん。だから、いまの方が幸せに生きてる気がする。期待して、それが起きないってなると、ショックだからね。

8歳から働いてきたトルコ人ビジネスパートナー

そもそも今のビジネスを誘ってきたマフメットは、ゆうりさんの友達ですよね?ゆうりさんに負けず劣らず面白い、不思議な人ですよね。

私は彼の生き方好きだな、すごく。自分のメンターとまでは言えないかもしれないけど、「良い生き方してるな」って思う。

彼はトルコの田舎で大家族の中で生まれて、家計を支えるために8歳から仕事してるんだよ。詳しくは知らないけど、多分靴磨きとか掃除とかやってたんじゃないかな。

独学でプログラミングとか学んで、会社作って。

今のマフメットの趣味は家を買うことなんだって。

家?!

ジョージアにもすでに家あるけど(マフメットの友達やアヒルが住んでいる)、エストニアでも家探してて、週末は家のオークション行ったりしてる。

あとは、ギリシャにも。冬はギリシャとか暖かいところに行きたいみたい。

私もマフメットみたいに、誰かに自慢したりするわけじゃなく、ただ自分が求めてる場所で暮らしていきたいなって思う。とりあえず、エストニアの冬は寒すぎて体調壊すし。

マフメットはなんか悟り開いてる感じですもんね。人に自慢とかはしなさそう。

でもそういえば、マフメット今年の5月で引退するって言ってるんだよ。

え?!なんで?!

もうずっと働いてきたし、これからは「キャラバンに出たい」って

とりあえず、ギリシャとエストニアに今は家を買う準備してて、一旦拠点はその2つにするけど、世界各地でボランティアをしたいんだって。自分のエネルギーをそうやって使いたいって。

マフメットらしいと言えばマフメットらしいですね。(マフメットはエストニアでもフードバンクのボランティアに度々出かけている)

マフメットが本当に引退したら結構ピンチだけどね笑。もう1人のメインのトルコ人は、あんまり英語喋れないし、別の英語喋る若いトルコ人はフルタイムの社員ではないし。

エストニアの起業自体は、簡単!でも、ネックは

– エストニアは、会社設立が簡単にできることで有名ですが、実際にエストニアで起業してみてどう感じますか?

会社を立てること自体は確かに簡単だったけど、全てが簡単ていう訳でもないかな。 

会社作るのは、200ユーロ払って、あと、会社設立を手伝ってくれたサービスプロバイダに50ユーロ払って終わりだった。

でも、会社の会計は、サービスプロバイダは特に手伝ってくれなくて、自分でやらないといけない

一応経理やってたし、最初は自力で会計やろうとしたんだけど、「これなら粘土練ってるほうがいいわ~(※)」ってなって、結局会計士を雇うことにした。日本では散々経理やってきたけど、やっぱり向いてなかったのかも

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自社のキャラクターVidiiiの人形は、粘土で手作りした。

Upworkを使って、初めて雇う側として、「エストニアの会社の会計ができる人」を探したら、エストニア人2人、パキスタン人1人、ナイジェリア人1人から応募があった。リモートでも会計はOKだから、エストニア人である必要もないんだけど、最終的にはエストニア人の人を選んだよ。

逆に、起業自体は、エストニアではIDがあれば簡単にできるから、エストニアにいるんだったらサービスプロバイダに手伝ってもらう必要もなかったかな~と今は思うかな。

エストニアで盆踊り布教💃🏻

突然ですが、ゆうりさんと言えば、盆踊りですよね。エストニアでは今までどんなところで踊ってきましたか?

そうだね!笑

エストニアのClean Up Dayっていうイベントがあるんだけど、それで「海を綺麗にしよう」っていうことで、砂浜で盆踊り踊ったよ。

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踊るゆうりさん

あとは、InterNationsの年末イベントで、タリンのバーでも盆踊りした。InterNationsのボス・ヤナに、「踊りな」って言われたからね。

徳丸(エストニアの日本料理チェーン店)のイベントでは、Solaris(タリンにあるショッピングモール)で踊ったよ。Instagramで徳丸をフォローしてて、イベントするって書いてあったから、「踊りたいです」ってDMして。

あの時は、盆踊りをやりたい熱がすごかったんだよね自分の中で。

– 盆踊り熱…笑。教室もやってましたよね?

ダンススタジオ借りて、盆踊り教室も開いてたんだけど、エストニアでは結構無謀だってことがわかった。

盆踊りをすごく気に入って毎回来てくれてたエストニア人も1人だけいたんだけどね。スタジオ借りるのも大変だし、今はもうやってない。

あ、でも、エストニアからリモートでコスタリカ人たちと盆踊りもしたよ。

– なんでまたコスタリカの人たちと??

日本で一緒に盆踊りしてた子が、世界の盆踊りチームと一緒に踊るっていうイベントを企画して、それに誘われたの。で、コスタリカの盆踊りチームも参加することになって。

remote-bonodori

エストニア-日本-コスタリカのRemote Bonodori

– ゆうりさんは、盆踊り以外でも、エストニアでいろんなことをしている印象があります。

確かにいろんなことがあったね。

エストニアの謎の映画にエキストラで14時間拘束されたりもしたし。そこで一緒になった中国人とパキスタン人と喋ったりして楽しかったけどね。中国人はエキストラなのに演技派だった笑。

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エストニア人が想像する「東洋人(?)」の格好をさせられるゆうりさん

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注:「TENET」ではありません。

– あと、早朝に陶芸の窯開きにも参加してましたよね?

あれも、謎だったね。ヤナ(さっきも出てきた、エストニアのInterNationsのボス)から突然深夜1時に「明日の朝暇?」って電話があって、集合場所と時間だけ伝えられて、訳がわからないまま参加したら、知らないエストニア人の陶芸の窯開きと謎の瓶アートのイベントだった

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訳がわからないまま参加しつつも結局エンジョイするゆうりさん

– ゆうりさんは、誰とでも仲良いというか、人への警戒心が結構皆無(?)なイメージあります。Facebookで全く知らないアルジェリア人の人から友達申請受けてたりしましたよね?

あれは、本当に謎だった。「自分は家具屋だ」って言って、色々家具の写真を送ってきたから、至って健全だけどね。一時期、メル友みたいになってたかも。

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ゆうりさんのFB友達が作った家具。この模様がお気に入りらしい

でも、確かに、どんな変そうな人でも一度は話を聞いて、質問してみようっていう姿勢はあるかも。

そうこうしてるうちに、InterNationsもなぜかエストニア支部のトップ3になったんだよ。

– いつの間にか昇進してる。

盆踊りとか誘われるがままにやってたら、ヤナから任命された。だから今は、ヤナ、副リーダーのフィンランド人、そして私という謎構成になったよ笑。

あと、好奇心が強いんだと思うやっぱり。夫と結婚してエストニアに行くって決めたときも、8割の人に絶対やめときなよって反対されたけど、そんなに反対されたら逆に興味湧いてきちゃう

本当は、色々やってて「恥ずかしい」って思うときもあるよ。でも、「やらないとわからない」って方がでかいかな。

– 恥ずかしいって思ってるっていうのが意外です。

本当はあんまり「人前に出たい!」ってタイプではないと思う。「SNSで自分を発信する!」みたいなのもそんなにやりたいとは思わないし。今は仕事の為になるかなと思ってやってみてるけど。

日本で盆踊りを団体でやってたときも、盆踊りを踊ってること自体が楽しいから、全然端っこで踊っててもいいって思ってた。センターで踊りたいっていうタイプではなくて。

でも、今、会社のPRを手伝ってくれてる人には、「もっと自分を売って!」って言われてる。

「エストニア起業!」とか、「海外女性起業!」とかそういうところをもっとアピールした方が良いって。あと、「何に当てはめていいのかわからない」とも言われた。

– ゆうりさんの特殊性って実際一緒にいたらめっちゃ伝わってきますけどね。(この記事で少しでも伝わるといいです)


2019年のクリスマスイブにとあるミートアップでゆうりさんと知り合い、クリスマス当日には突然隣町に一緒に行ってクリスマスコンサートを見に行ったのですが、その時はまさかゆうりさんがエストニアで起業することになるとは思っていませんでした。多分ゆうりさんも。

うどんを作る会に呼んでくれたり、ドローンを一緒に飛ばしたり、私がエストニア生活でお世話になっている人の1人なのですが、起業してもそのパワフルさは健在だなと思いました。

これからさらなる活躍を願っています!コロナが落ち着いたらまたドローン飛ばしたりしたいです👹

 

おまけ:イースターにエミュの卵(巨大)を食べたというゆうりさん。

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「味は、ダチョウの卵の方が美味しかった」とのこと。左は、アボカド

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