こんにちは。エストニア就活中のゆみです。
「エストニアのスタートアップがすごい、すごい」って言う話はよくあるんですが、今日注目したいのは、そのスタートアップを作った起業家のほう。
最初に言っておくと、エストニアは決していわゆる男女平等の国ではないです。むしろ、ヨーロッパのなかで一番男女間の給料差が大きいという不名誉なランキングも頂いちゃってます。エストニアでは、女性は男性の73%分の給料しか貰っていないという結果に…。
しかし、あまり男女平等ではないにも関わらず、エストニアには、女性の大物が多いです。
最年少の46歳で初のエストニア女性大統領になったKersti Kaljulaid大統領はまさにサクセスフルエストニアンウーマンです。
今回は、エストニアのインキュベーションセンターGarage48がまとめた記事をもとに、国際的に成功している女性起業家5人(とそのスタートアップ)を紹介します!
1. ロンドンのウェイトレスからCEOに。従業員の46%は女性・ソフトウェアテスト企業のTestlio
Kristel KruustukさんがTestiloを起業したのは、23歳。
エストニアの高校卒業後、「何をすれば良いかわからなくて」ロンドンでウェイトレスをしていたKristelさん。
そこで、つるんでいた友達がたまたまみんなテクノロジーの仕事をしていて、「Computer Scienceを学ぶべき!」とすすめられ、エストニアに帰り、大学に進学。大学2年生の時に、ソフトウェアテスターの仕事に出会う。
ソフトウェアテスティングは「IT初心者の仕事だ」と聞いていたが、彼女はその仕事に恋に落ち、モバイルアプリをテストするための会社「Testlio」を立ち上げました。(Venture Beatより)
2016年には、625万ドル(約6億9千万円)のシリーズAの資金調達を完了!シリコンバレーとエストニアの首都タリンの2拠点を持つ。
Testiloでは、従業員の46%が女性。故意に女性の比率を高くしようとしているのではなく、自然に優秀な人を雇っていたら、こういう比率になったらしい。女性がCEOっていうのも、女性からの人気を高くしているのかも!
(超余談:彼女は23歳で起業したということですが、私も今23歳。。。自分の人生についても考えちゃいますわ。)
2.エストニア電子政府のキーパーソンになった国唯一のIT弁護士。スタートアップのための「ブロックチェーン株式市場」Funderbeam
孫泰蔵さんからも出資を受けるFunderbeamのCEO・Kaidi Ruusalepさん。実は私も東京で会ったことあります!(えっへん!ささやかな自慢です。)
とてもフレンドリーでしたが、経歴を調べてみてびっくり。超超超すごい人でした。
1990年代半ば、エストニア唯一のITを専門にする弁護士として、エストニア政府に雇用されたKaidiさん。エストニア電子政府の特徴の1つである電子署名のための法案の作成に携わります。
その後は、ナスダックのタリン支部を任され、トレードに関する経験を合計で12年間も積んだといいます。
そして、起業を決意。ブロックチェーン上で管理された、スタートアップのための株式市場プラットフォームFunderbeamを設立します。(正確には、株式市場ではないですが、わかりやすさのためにそう言っときます…!)
日本の孫大蔵さんも含め、世界中の投資家から計700万ドル(約7億7000万円)の資金を得たFunderbeam。
「エストニアのスタートアップ」というと、すぐに名前が挙がってくるほど世界でも有名な会社になっています。
会ってみたら、めちゃくちゃいい人で、成功していることを自慢する感じも全然ない人でした。
人柄の良さも、企業の成功に関係あるかも?と思います。Kaidiさんだけじゃなくて、Funderbeamで働いている他の人も、とてもいい人でした(私がエストニア就活していることを知って、エストニア企業を紹介してくれたりもした…)。
3. 最年少16歳で起業したシリアルアントレプレナー。「好きな場所で働く」を可能にするJobbatical
16歳で起業(エストニアの最年少起業記録)。
その能力が買われ、2007年、23歳にしてアメリカ大手のケーブルテレビチャンネルMTVのエストニア拠点のCEOに就任。(これは、MTVの最年少CEOで、またもや最年少記録達成☆)
そんな彼女が2014年に起業したのが、Jobbatical。IT職を中心に、世界中の求人が一挙に集まるプラットフォーム。これは、彼女が東南アジアでバケーションしていたときに思いついたそう。
外国でのバケーション中に職を探すとなると、レストランとかホステルでの仕事が多いが、ITスキルを持つ人はどこでも仕事ができる時代。サバティカル(研究休暇や有給休暇)気分で、仕事をしたい人にはもってこいのプラットフォームだ。
Jobbaticalは800万ドル(約8億8000万円)の資金調達済み。もうみんな資金調達しすぎてて、何がすごいのかわからなくなってきたぞ。ちなみに、2016年のエストニアのスタートアップへの資金調達の内、Kristelさん、Kaidiさん、Karoliさんの3人だけで、全体の10%を占めるそう!(Irish Tech Newsより)
GIRL POWERRRRRRRって叫びたくなるね。
4. え、木材…?木材計量のソフトウェア開発。Timbeter
ここに来て、森に帰るっていうね。エストニアらしいって言えば、とてもエストニアらしい。
何て言ったって、エストニアは森林の国だからね!テクノロジーのイメージあるけど、国行けばほぼ森林だから🌲首都タリンにも、森とベンチしかない公園があります。
Garage48のハッカソンでチームを結成したAnna-Greta Tsahknaさんは、そんなエストニアの森林からおそらくインスパイアされたはず。
Timbeterという、スマホで木材の写真を撮っただけでその量を教えてくれるアプリ。
いや、正直これの需要が私には分からない…。けど、Forest World Magazineに取り上げられていたり、木材産業ではありがたいテクノロジーなのかもしれないです!
5. エストニア女子を覚醒させる。Tech Sisters
これはちょこっと変わり種。会社じゃなくて、NPO。
まだまだ男女格差の大きいエストニアで、女の子がテクノロジーに触れるきっかけを与えるために、Tech Sistersを創設したMari-Liis Lindさん。彼女自身は、エストニアの有名スタートアップたち(FunderbeamやTechnopool)で働いた経験も持つ。
ワークショップやイベントを開催し、エストニア女子がテクノロジーの世界に入ることを促進中!
エストニアで女性起業家が活躍する理由の考察
ここからは、妄想です。何故男女平等とは程遠いエストニアで、女性の起業家の活躍が目立つのか、犬の散歩中に考えてみました。(コメント・ご意見ありましたら、お気軽に!)
・給料が低いからこそ、雇用されることへの魅力が少ない
日本であまり語られないのが、エストニアの給料の低さ。物価も安いけど、給料もそれ以上に安いです。(物価は日本の3分の2くらいだけど、給料は3分の1くらいに感じる。)
平均月間給与は、2017年では1221ユーロ(約15万6千円)。これ、新卒の平均とかじゃなくて、国民全体の平均だからね。めっちゃ安い…。
雇用されていても、こんなに安かったら、起業にそこまでリスクがないのかな?と思う。というのも、例えば日本だったらやっぱりまだ雇用される方が安心感ある気がするけど、エストニアではそこまで雇用への安心感がないような。
女性だったら、もっと平均給与は低くなります。だから、ますます雇用へのメリットがないのかな、と。
・男女格差は大きいけど、北欧的な平等意識も根付いている?
男女格差が大きいのは、ソ連時代の名残かなと思います。しかし、エストニアは今や「北欧」を自称している国。
同じバルト三国として上げられるラトビアやリトアニアよりも、フィンランドと類似性が高いのはよく知られた話(歴史的にも、文化的にも)。
ソ連から独立後に生まれたエストニア人にとっては、北欧流の男女平等意識が強いのかなと思ったり。
また、ソ連前に生まれた人たちの中でも、北欧流の考えを持つ人は多いです。実際、エストニアはソ連の中で最も「西に近い国」とソ連時代から呼ばれていたし。
まだまだ考えてみる必要はありそうですが、とりあえず思いついたものを書いてみました。
日本は人口の多さの割には、女性起業家の活躍が目立たない気がします。(何人名前上げられますか?私は南場さんくらいしか思いつかなかった…)
突然スウェーデン見習え!というのは難しいはず。しかし、同じく男女格差が大きいエストニアでも女性起業家は活躍しています。
男女平等ではない国で活躍する彼女たちの姿が、同じく全然男女平等じゃない日本の女性をインスパイアしたらいいなとそんな思いも込めながら、記事シェアしました!
元になった記事はここで読めます(英語)http://garage48.ee/blog/successful-female-startup-superstars-in-estonia
翻訳・転載許可は貰ってます!「you’re more than welcome to share」って言われた😇