【Youは何しにエストニアへ?】 アメリカから来た台湾人UXデザイナーの場合

Youは何しにエストニアへ?

日本や世界各国で電子国家としてバズっているエストニアですが、人口130万人の小国、やはりまだまだ外国人は少ない。

エストニアニュースサイトERR.eeによると、2015年にエストニアへ移住した外国人は、たった8000人ほどだったという。

 

エストニアにわざわざ来る外国人は、どんな人なんでしょうか?

そんな興味から、エストニアに住む外国人へのインタビューをしました。

記念すべき第1回目は、身近な友達から。じゃじゃん!

台湾人のMelody。タリンにたくさんある花屋さんの前で。

「エストニアのことはほぼ知らずに来た」というアメリカ院生で台湾人Melodyの、エストニアに住んでみた感想・アメリカとの違いについて聞きました。

彼女の率直なコメントから、リアルなエストニアの姿が見えてくるかもしれないし、ますますエストニアが謎の国になるかもしれません。

🦄プロフィール

  •  名前:Melody
  •  年齢:24歳
  •  職業:ミシガン大学大学院生、UXデザイナー
  •  どこから来たの?:台湾・新竹市🇹🇼→アメリカ・ミシガン州🇺🇸→エストニア・タリン🇪🇪

 

では、さくさく行きましょう。

エストニアで働いてみた感想「国際的すぎて、エストニアって感じがしない」

わたし
なんでエストニアに来たのか改めて教えて!

Melody
私が通っているアメリカの大学院では、卒業するためにインターンをする必要があって、エストニアに来たのは、スタートアップでUXデザイナーのインターンシップをするため。

わたし
わざわざなんでエストニアなの?

Melody
アメリカでは留学生がインターンを探すのはかなり大変。去年の夏やったインターンでは、200社に履歴書を送って、面接にたどり着けたのは6社だけ。インターンを雇う会社としては、『卒業後も働いて欲しい』という気持ちがあるんだけど、留学生が卒業後働くには会社側がワーキングビザを準備しないといけない。だから、留学生は敬遠されがち。

わたし
卒業必須単位にインターンがあるのに、それは大変……。エストニアでのインターンはどうやって見つけたの?

Melody
友達が、AIESEC(※)を通じて見つけて、私に紹介してくれた。

AIESEC:海外インターンシップやボランティアをコーディネートする世界最大の学生組織。「世界126以上の国と地域に7万人以上の会員を有する」らしい。日本にももちろんあります

わたし
エストニアで働くのは、どんな感じ?

Melody
色んな国の人と働けるのが面白い。

例えば、アメリカでは上司も同僚もほとんどアメリカ人だったけど、今働いているところでは、ボスはスイスにいて、同僚はセルビア、ウクライナ、日本、エストニアと色んな人たちがいる

最近までエストニア人は一人しかいなかったから、「エストニアの会社!」って感じはしないかも。すごくインターナショナルな環境なのは気に入ってる。

わたし
エストニアにあるスタートアップは、基本公用語が英語だから、エストニア人よりも外国人の方が多いっていうのは確かによくあることだよね。エストニアに来てからはそれが当たり前に感じてたけど、よく考えたら日本ではありえないかも。

エストニアのスタートアップの勢いに対して、エストニアの人口だけではまかなえないっていうのもあるだろうね。

エストニアでは、スタートアップは基本すべて英語が公用語。テク系のイベントも必ず英語。エストニア人だけを対象にしていないことは明らか。エストニアのスタートアップの成功の理由は、こういう最初からグローバル志向なところにあるかも。

わたし
エストニア自体にそもそも興味は…?

Melody
全然無かった。バルト三国の1つってことは知ってたけど、本当にそれくらい。

わたし
あまり知らない国なのに、エストニアに来ることへの不安はなかったの?

Melody
不安はあんまりなかった。エストニアに来た留学生の記事を読んだんだけど、そこで『エストニアはすごく安全でした』って書いてあったし。

あと、新しい空気を吸ってみる良い機会になると思った。ミシガン州に1年くらい住んで、飽き始めてたから。

タリンの旧市街とMelody。

エストニアで困ること①:エストニア人は外国人に慣れていない?

わたし
来てみて一ヶ月、エストニアはどう?アメリカと違う点はある?

Melody
たくさんある!まず、一番はアジア人がいないこと。

 

ミシガン州では学生都市に住んでたこともあって、結構アジア系の人が多かった。でも、エストニアでは本当にアジア人を全然見ない。アジア料理店も少ないし…。

わたし
確かにアジア系の人は少ないよね。他にアメリカと違うと思う事はある?

Melody
エストニア人はアメリカ人よりも静かで保守的だと思う。

例えばアメリカだと、知らない人とも「スモールトーク」をする。挨拶したり、天気の話をしたり。でも、エストニアではそういう光景を見たことない。

あと、バスやトラムの中がすごい静か。アメリカや台湾では公共の場でも大きな声で喋るのが当たり前だから、すごい静かでびっくりした。

Melody
エストニアの人は、外国人に対してオープンじゃない人も多いと思う。特に、家探ししているときに、大家さんや不動産屋が外国人を避ける傾向にあるっていうのは記事にも書いてあった。

わたし
それはそうみたいだね。スタートアップで働く外国人が増えているとはいえ、やっぱりまだ外国人は少ないし、警戒心はあるかもね。

参照:エストニアの外国人Facebookグループでも、少し話題になったエストニアでの家探しにおける人種差別問題についての記事。
estonianworld.com

エストニアで困ること②:オンラインショッピングが不便な電子国家。

Melody
あと、エストニアで不便だと思うのは、オンラインショッピングができないこと。

わたし
Amazonがないから!(ハモる)

Melody
Amazonがないから!(ハモる)

「there’s no f**king Amazon!」とハモる。エストニアではドイツやイギリスのAmazonから頼む人も多いらしい。

Melody
アメリカではほしいものあったら、あれもこれも何でもAmazonで注文してたから、それは不便に感じる。

あと、スーパーとかも品揃えがアメリカに比べると悪い気がする。例えば、この間フォークと鍋を探してたんだけど、スーパーに置いてなかった。

 

わたし
電子国家って言われていることについてはどう思う? それは知ってて来たの?

Melody
うん、色んな行政のことが電子化されているっていうのは聞いた。

トラムとか、電子だなって思うよ。

わたし
トラム……? トラムはなんか違うでしょ!!

突然のトラム。路面電車は別にエストニア特有じゃないよ……。

Melody
そっか、そっか!(笑)

クレジットカードでどこでも決済できることとかかな〜?

e-Residencyのカードもエストニアで口座を作るために申請したんだけど、エストニアで銀行口座を持つのはお金がかかるから、結局アメリカの口座使ってるし、今は何にも使ってない状態。

無用のものになってしまったMelodyのe-Residencyカード(イメージ図)。いつか日の目を見るといいね。

エストニアのいいところ:エストニアはお金が貯まる?!

わたし
エストニアへの愚痴みたいになってるけど、いいところは逆に何?

Melody
家賃がすごい安い。

今、学生寮に住んでいるんだけど、月に200ユーロ

アメリカでは月に900ドル払ってたから、家賃が抑えられるのは良いな。アメリカでのこれからの生活のために、お金貯めないといけないし。

わたし
しかも、エンジニアとかUXデザイナーのお給料はエストニアの平均と比べると、すごく高いもんね。

🇪🇪エストニアの給料事情

2018年3月時点のエストニア平均月収は、1295€日本円で、16万5000円くらい。(これは新卒の平均月収とかじゃなくて、エストニア全体です!!エストニアは物価がそんなに低くない割に、給料低い。過去記事参照:だから、エストニアが嫌い。【本当に電子政府?】 | Estonian Mania

しかし、私の周りのエンジニアやUXデザイナーは、Juniorでも2000€(約26万2000円)くらい貰っている人が多い。会社によるとは思いますが、IT系は高い。ちなみに、IT会社でも営業職などは逆に安いです……。

わたし
でも、今は貯金してるんだ?

Melody
うん。アメリカの大学院の授業料は高いから、貯めれるうちに貯めないと。

一学期、約230万円する……。

わたし
高すぎて引く。

 

エストニアの後は、目指せシリコンバレー。

わたし
エストニアに住みたいと思う?

Melody
思わない。

また機会があったら旅行で来たいとは思うけど、長くは住みたくないかな。

わたし
それはなんで?

Melody
やっぱり、アジア人がもっといてほしいなと思う。私にとっては、そっちの方が住みやすいから。

街を歩いていて、すごく「アウトサイダー」な気分になる。映画を撮っていて、自分だけ間違ったシーンに入って来ちゃったみたいな気分。分かる?

アメリカでも「外国人」だったはずなんだけど、あんまりそういう風に感じなかった。でも、こっちでは「自分は外国人なんだ」ってすごい感じる。言葉が理解できないっていうのも大きいのかな。

わたし
なるほどね。私はその感覚が割と好きかも。

Melody
なんで?!笑

わたし
「自分がここに属してない」って、「誰のことも気にしなくて良い」みたいな感じで良いなと。

あと、英語とか日本語で周りの人が話してたら、内容が少しでもわかって他の人に気が取られちゃうじゃん。でも、ここでは周りの人のことが理解できないから、自分に集中できる気がする…。

 

わたし
エストニアからアメリカに帰った後はどうするの?

Melody
あと1年間大学院に通う。そして、また卒業前にもう1個インターンするつもり。

卒業したら、カリフォルニア州に移住したいと思っている。シリコンバレーのIT企業で、UXデザイナーとしてフルタイムの仕事に就きたい。

でも、ちゃんと仕事見つかるか不安だけど……。

わたし
UXデザイナーなんて、すごく求められている仕事だから、エストニアだったらすぐ職が見つかりそうだけどね。

Melody
アメリカは(特にカリフォルニアは)やっぱりみんなそこで働きたくて海外からも沢山人が来るから、競争が激しい。だから、今から次のインターンについて考えなきゃ(笑)。

インターンの経験を積んでいけば、それだけフルタイムの仕事に就ける可能性も高くなるはずだから。

台湾→ミシガン州→エストニア→次は、シリコンバレー?

エストニア=IT系の人の修行場所にちょうどいい?

Melodyの話を聞いて、エストニアはIT系の(UXデザイナーやエンジニア)キャリアを積んでいくステップとして良い場所なのかも知れないな?と思いました。

・家賃が安い

・IT職は豊富だから、職が見つかりやすい(逆に、IT職以外、例えば営業職などは豊富じゃないです。)

・IT職の給料が、相対的にかなり良い=良い暮らしができる

・競争は人気な国(アメリカ)ほど激しくない

ただこれらの条件に当てはまる国は、エストニア以外でもありそうですが。ポーランドとか。

あと、寒さに耐えれる人じゃないと無理かな……。(写真を撮ったのは9月下旬。しかし既にコートが欠かせません)

 

Melodyからの伝言

突然、「インタビューさせてくれ」と言ったら、二つ返事でOKしてくれたMelodyに感謝です!

そんなMelodyから伝言を授かってます。『UXデザイナーの人がいたら、繋がりたい』とのことです。

UXデザイナーとして色々情報交換したいようなので、エストニアにいなくても気軽にコメント下さい。そうすれば、どうにかして力尽くで繋げます。

 

では、読んで下さってありがとうございます!

これシリーズでやっていきたいんですが、明後日からエストニアを発って外国に行くのでしばらくはできなそうです。

が、まだまだインタビューしたい人がいるので(家族のローンを返すためにエストニアで働くセルビア人のエンジニアとか)、遅くなっても続けていきたいと思ってます。

 

Head aega!👋🏼

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