こんばんは。
今日、配車アプリBoltで出会った運転手さんが、珍しく割と話す系の人で(タリンの運転手さんは基本無言)、天気の話から私がエストニアで何をしているのか、などなど色々話していたのですが、途中から、ナイジェリア出身の彼のエストニアにおける就職の難しさへと話題が移っていきました。
「タクシーを運転し続けたくない」
エストニアではビジネス専攻で大学に通いながら、Boltのドライバーなどとしても働いているそう。しかし「このままBoltで運転し続けたくない」と言っていました。
「趣味が楽しめるような安定した職業に就きたい。だけど、エストニアでそういう職を探すのは難しい。もう疲れてきたよ」と、話していました。
しかし彼の話を聞いてると、エストニアに来る前はロシアのアルハンゲリスクに留学していて(プロジェクトマネジメント専攻)、エストニアでのビジネス専攻は彼にとって2つ目の学位だそう。さらに、英語だけでなくロシア語も話せるそうです。「エストニア語も少しなら話せる」と言っていました。
代わりがいる
コミュニケーション能力も英語能力も高いし(英語は私よりも確実に上手だと思う)、しかもロシア語までできるなら就職先も見つけられそうなものなのに…と彼の話を聞きながら最初は思っていました。
しかし、彼は、BoltやTransferWiseなどエストニアの大手ITスタートアップに4、5回アプライしても、「2つくらい面接で通っても、3度目の面接で通らなかった」と。
「社内に知っている人がいればReferralしてもらえるけど、自分にはいなかったから、難しかった」と彼はReferralの重要性について何度も語っていたので、「同じナイジェリア人のコミュニティに、誰か知っている人はいないの?」と聞いたら、「みんな自分と同じ感じで、仕事探してる人ばっかりだよ」と。
彼にとって、エストニアで職を探すのが難しいのは、あまりにも競争相手が多いからなのかもしれないです。
- 英語ができる→エストニア人、エストニアに来た外国人、基本できる。
- ロシア語ができる→ロシア系エストニア人をはじめとして、ウクライナ人、ベラルーシ人などなどロシア語ネイティブが多い。
- 結果:英語とロシア語ができる→めっちゃいる。
ここで、「プログラミングができる」とかが加われば、一気に職探しが楽になる気もしますが、「プログラミングを勉強したことはないし、自分はプログラマーには向いていないと思う」と言ってました。
日本人の海外就職には、日本語が武器になる(ことがある)
この運転手さんの愚痴(?)を聞いていて、考えたのは自分のこと。私はエストニア語もロシア語もできないし、英語も彼よりも下手だし、それまで働いたことはなかったけど、なんやかんやエストニアで就職できた(今は、エストニア2社目)。
それはきっと、というか、絶対、日本語のおかげ。
新卒でエストニア就職した方法の記事でも書きましたが、LinkedInで「japanese」と入力し日本語スキルを必要とする仕事を調べてたどり着いたのが今の仕事。
タリンで働いている日本人の知り合いも、日本語スキルを活かした仕事をしている人が結構多いように感じます。
日本語ができることは、海外就職では武器になるのではないかなと思います。
- 日本に顧客がいる海外企業は、日本語カスタマーサポートや日本語マーケティングが欲しい。日本はまだマーケットとしてでかい。
- が、そもそも日本語ができる人が少ない。ネイティブならなおさら。(これは、国や都市にもよると思いますが)
ある意味、日本人は、日本語ができるというだけで、海外における職探しで有利な位置にいるのかもしれない、、、?と今日Boltの運転手さんの苦悩を聞いていて思いました。
わたしが日本にいた時、「海外に行くのはまず日本の会社で経験を積んでからにした方がいい」と言う人もいましたが、もしかしたら海外企業にとっては、日本語ができるということがそれだけで十分魅力的なスキルかもしれません。
だから、行きたい国がある人は、どんどん日本を出てみてもいいのかもしれません。
日本語スキルだけに頼ることへの不安
ただ、日本語だけに頼り続けることへのデメリットや不安もあります。
デメリットは、探せる職が限られる。例えば、エストニアでは、日本語スキルを必要とする仕事を募集している大部分が、オンラインカジノの会社な印象があります(よく日本語サポートや日本語マーケティングを募集している)。きっと日本がマーケットとして大きいんのかなと思います。
全ての会社が日本語スキルを必要とするわけではないので、選択肢がぐっと狭まります。
あとは、これは私個人的に思っていることなのですが、日本語がいつまで求められるスキルであり続けるのだろうかという不安があります。
例えば、日本の人口がどんどん減って、さらに貧しくなっていって、マーケットとして価値を失ったら、海外企業もわざわざ日本語サポートや日本に関するマーケティングを求めなくなるんじゃないか、と今もたまに不安に思います。
だから、日本語を使って海外で就職しちゃいなyo!と言いながらも、それができる状態がいつまで続くのかわからないです。
運転手さん、仕事見つかるといいけど
運転手さんの話に戻ると、エストニアの大手スタートアップは受けたと言うので、「Moneseは?」と聞いたら(Moneseはイギリスの金融スタートアップ)、「Monese、エストニアにオフィスあるの?」と受けたことが無いようでした。
Moneseでカスタマーサポートをしている知り合いが数人いたので、勧めてみたのですが、運転手さん、本当にアプライするかな。
しかし、この運転手さんとの会話では言わなかったけど、今エストニアで職探しは特に厳しい時期だと思います。
「スーパーマーケットでの仕事も、若者にとっては宝くじに当たるかのようだ」とニュースで報じられていたくらい、コロナウイルスによって仕事の求人が減っている・求職者が増えている状態のようだから。
結局、「Monese受けてみたら?」しか私はアイディアが思い浮かばなかった。
改めて、今仕事があるだけありがたい状況なんだなと思わされた出来事でした。
そして、仕事があるのは、自分が日本語ができて、そしてたまたま日本語が必要とされてたからなんだなと思いました。私の方がこの運転手さんより努力してたとか、そういう風にはぜんぜん思えない。彼はロシア語もできるし、絶対努力したはず。
日本語は、海外では希少なスキルなようなので、それだけで武器になることもある、という話でした。(まとめ方が下手)
この運転手さんのそのさきが少し気になるところです。