新しい携帯を買うことは、ちょっとした挑戦だった。

birthday-2020 エストニアで生きてる日記

こんにちは。「誕生日にトラウマを乗り越えた」というタイトルと迷ったのですが、これを「トラウマ」と呼んでいいのかわからないのと、まだ完全に「乗り越えた」と言えないなと思ったので、いまのタイトルに落ち着きました。どうでしょうか。パンチが足りない?

先月、誕生日でした。

誕生日までにカウンセラーと約束していたことがあり、それが「誕生日までに新しい携帯を買う」ということでした。

おんぼろ携帯2台持ち。しかし、新しい携帯をなぜ買えない。

私はエストニアに来てからずっと2台携帯を持ち歩いていました。SIMロックがかかっていて海外で使えない古(いにしえ)のiPhone。それと、オーストラリア留学時代に買った海外でも使えるけどそもそも壊れている、これまた古のSamsung

iPhoneを買ったのは、大学1年生の時(2013年)なので、7年前。Samsung6年前ですね。

7年前のiPhoneは、SIMロックがかかっているので、海外ではWifiがあるところでしか使えないし、電話も使えません。

Samsungは、海外でも使えますが、そもそも買った時点でオーストラリアの中国人の店員さんに「これめっちゃ古いけど、大丈夫?」と忠告された代物(しろもの)。日本語はひらがなしか打てないし、古すぎていろんなアプリに対応していませんでした。

いつも2台の携帯を持ち歩いているので、同僚には、「お前、ヤクの売人でもやってんのか?」と笑われていました。2台の携帯=ヤクの売人ていう発想が、素晴らしいですね。(「大麻もやったことない私がヤクの売人に見える?」と聞いたら、「そう見えないやつこそ、売人に適役なんだよ」と言われました。)

「新しい携帯を買わないと」とここ23年ずっと思っていました。

でも、なぜか買えない。

2台でなんとかなってしまっているのもあるし、携帯という高額な買い物をすることに足踏みしてしまった。

いつからかわからないけど、お金を使うことへの罪悪感・不安感が強くなっていました。買い物依存症の反対みたいな。食べ物とかトイレットペーパーみたいな生活必需品は買えるけど、携帯とか机みたいな贅沢品(?)は買えなかった。

エストニアで会ったカウンセラー2人にこれを話したら、「使いすぎるよりはましよ」って2人揃って言ってました。

2人目のカウンセラーには色々アドバイスされたんですが、その中の一つが、「今年の誕生日までに携帯を買うって私と約束して」というものでした。

このカウンセラーと話していたのは、今年の7月頃で、私の誕生日は11月末なので、4ヶ月もあるなら大丈夫だろうと思い、「その頃までには買っているよ」と私は答えました。

誕生日当日、まだ買っていない

カウンセラーと話していた時には、「流石に11月までには買ってるよもう今だってめちゃくちゃ不便なんだから」と思っていたんですが、誕生日当日にも買っていませんでした。

本当は、8月頃に買うつもりだったんですが、「ブラックフライデーで安くなるんじゃない?」という友達の言葉を耳にした途端、買う気が失せてしまいました。

私が高い買い物が苦手なのは、損をしたくない、金を無駄に失いたくないという気持ちが強すぎるせいもあると思います。(それで結局損していることが多い)

ブラックフライデーで安くなるかもしれないのに今買ったら損してしまうと思い、というか、それを買わない言い訳に使った節もあります。買い物をするのは、嬉しさよりもストレスの方が大きい(ことがほとんどな)ので。

奇遇にも、私の誕生日はブラックフライデーをやっていました。Must Reede。エストニア語でありとあらゆる店舗に広告が打ち出されていました。

今年の誕生日は、多分人生で初めて、完全に1人で過ごした日でもありました。

FacebookやらLINEやらで「誕生日おめでとう!」というメッセージはくれど、会う人はいない。

去年は実家に帰っていたし、一昨年はエストニアで元同僚たち(ブラック企業だったけどそのお陰か同僚同士の仲は良かった)が一緒に過ごしてくれていました。

しかし、今年は完全に1人。

ケーキも好きじゃないし、特にやることもないので、Ulemiste Keskus(タリンにあるショッピングモール)に行きました。

自分で物が買えるという喜びと知らない人の優しさが染みた誕生日

向かった先は、Euronics。電化製品店です。

ブラックフライデー期間ということもあり、かなりの人混み。私はもちろんマスク装着で。

iPhoneのコーナーを見てたら、店員さんが「何か質問ありますか?」と近づいてきました。「どの携帯にしようか迷ってるんです。今使ってるのすごい古いんですけど、新しい携帯って大きいですね」とかなんとか答える私。

「小さいのがいいなら、iPhone SEか、iPhone 12 miniですね。個人的には、iPhone 12 miniがオススメです。iPhone SEは顔認証じゃないんですけど、もうこれからこのホームボタンにiPhoneが戻って行くことって無いので、新しく買うなら、ホームボタンがないものが良いですよ」

しかし、iPhone 12は全くセールになっていない。しかも、iPhone 12 miniだと見た目的には小さくて自分の持ってるiPhoneとそんなに変わらないし(いやきっと機能は全然違うんだろうけど)。

一旦Euronicsを出て、他の電化製品店へ。iPhoneの値段を確かめに行きました。Euronicsの方が安い。

戻ってきて、「じゃあこれにします」と、ブラックフライデーで安くなっていた携帯を指差し、同じ店員さんに宣言。

その日のEuronicsは混んでいたので、レジも並ぶ。並んでいる間に、自分の買う気が失せてしまうんじゃないかと心配していましたが(私はこれがよくある)、意外とすぐに順番が回ってきました。

カードで払いました。保険とか携帯の保護フィルムとか合わせたら、なんか思ったより高かった。

保護フィルムを貼るのを、店員さんがやってくれて、「これでいい感じ?もし問題あったら、また直すから、持ってきてくださいね」と優しい。

「充電器も買いたいんですが」と言ったら、「パッケージに充電器も入ってますよ。イヤフォンも入ってる」と。ウェブサイトでは別売りって書いてあった(気がする)から、なんだか得した気分。

帰り際にも「It was my pleasure, have a nice day!」みたいなことを言われて、店員さんの優しさに心の中で泣きました。このまま勢いで、「実は今日誕生日なんです!」とか言おうかなとすら思った。言わなかったけど。

知らない人に優しくされると、嬉しいもんですね。優しさを期待してないからこそ、嬉しさも増すのかもしれません。(特に、エストニアで店員さんに優しくされることを期待することは無い)

自分の誕生日に、自分でプレゼントを買えることにも喜びとある種の達成感的なものを感じました。

今も自分が働いて給料を貰っているということに、ピンとこないんですが、自分が稼いだお金で自分の誕生日プレゼントを買ったら、いつもより自立した気持ちになりました。まあいつも誰かから何か買ってもらっている訳でもないんですけどね。

そんな訳で、カウンセラーありがとう

もしカウンセラーと約束していなかったら、私はまだあのおんぼろ携帯2台持ちしていたと思います。賭けてもいい。(意味のないギャンブル)

誰かと約束するっていうのは良いですね。しないと、自分に色々言い訳して行動に移さないので。

今年の誕生日は、側(はた)から見たらすごく孤独な誕生日でしたが、同時に、ずっとやりたかったことが実現できたので、自分にとっては割と有意義な日でした。

テコンドーのクラスメイトには、「ohhhh that’s so sad」って言われましたが。<完>

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