タリン唯一のNGOの英語書店『Rüütel & Matilda』に行ってきた。

エストニアで生きてる日記

🎈Terevist!🎈

金曜日のライティングミートアップ、今日も行ってきました。

2周年記念で、「2」の数字のバルーンを2つ、常連メンバーが買って来てました。これ、終わった後どうする?と話しているときに、ちょうど妊娠している人がいて、「2歳記念に使えば?」「生後2ヶ月、2週間、いや2時間記念にも使える」とか話してました。

ここには書けていないですが、色々ノートにネタが溜まってきてて、早く放出したい!

🥂ミモザと、話せないままの主催者

2周年記念ということで、主催者の人がオレンジジュースとミモザをみんなに奢ってくれました。何回か行ってるけど、普段は友達と話すか、また別の人たちと話すかで、あんまり主催者の人と話したことがない。

これは、自分の劣等感というか、いまだに英語ネイティブスピーカーの人と話すのあんまり慣れてなくて。エストニアでは、みんな英語が第二言語の人が多いから話しやすいけど、主催者の人は多分北米出身だから(それすらもあやふや)、流暢な英語で矢継ぎ早に話されると、私の英語はさらにたどたどしくなってしまう。例えばカナダ出身でも、ケベック州出身で第一言語はフランス語だったりすると、少しアクセントもあるし、もっと落ち着いて話せる。昨日ちょうどそんな人とミーティングがあった。

そのミーティングでは、AI生成の動画のクオリティについて話し合っていたんですが、日本語バージョンがあまりにもロボットすぎることを伝えたら、そのカナダの人が、ため息つきながら、「いや、そんな予感はしてたんだよね……。とりあえず、リーダーシップ層を満足させるために、何かしらAIの動画はやるわ……」と言ってて、まあ、どこも会社ってそうだよなあと、妙に共感してしまいました。

どんどん話がずれていく……。

あと、さらに話をずらすと、今日喉がイガイガして、すわ風邪か?!と思ったら、同じく参加者のイタリア人の人も鼻かんでて、もしかして花粉症(hay fever)ってタリンにもある?と聞いたら、あるよーって言ってた。ローマにいる時よりはずっとマシだって。てことは多分東京よりかはマシなのかな。

📚今日の本題:Rüütel & Matildaへ!

見出しをつけて宣言しない限り、永遠に今日あったことを書き連ねていく気がしたので。

Rüütel & Matildaは、Ruta NõmmelaとMadis Mikkorによって、2022年にタリン旧市街にオープンした、英語の新刊と古本を扱う本屋さんです。

そのコンセプトは、「紙の本と読書の文化を守ること」。
創設者たちは、デジタル化がすべての解決策ではないとし、伝統的な読書の価値を大切にしたいと語っている。

参考記事:
ERRの記事「Second-hand English-language bookstore opens in Tallinn Old Town」

ヘルシンキやブリュッセル、ベルリンにあるような、良質な小説・ノンフィクションを揃えた独立系の本屋を、タリンにも作りたかった」と。
確かに、Rahva Raamatっていうカフェと本屋が併設されたチェーン店はたくさんあるけどね。

この書店のユニークなのは、NGOとして運営されてるところ。

私が行った時にいた店員さん曰く、「売るための本を買うのと家賃とで、利益はほぼ出ない」と言ってた。

そもそもこの本屋さんを知ったのは、同じくライティングミートアップに来ている、PhD論文を書いてるフィンランド人の女性がおすすめしてたから。
ここで買った、その名も『Bitch』という本に、男性の動物学者がいかに人間のジェンダー価値観を動物の観察にも持ち込んで、奇妙な結論を出していたかという話が載っていて。たとえば、鳥の集団を観察して、オスは着飾るだけで特に戦ったりしていないのに、メスが戦っていると、「このメスたちは、生理前でイライラしているのだろう」とか書いてたらしい。
メスが集団を守る・戦う役割を担っていることもある、という考えが、人間の学者にはなかったみたい。

ここの書店のさらに良いのは、ただ英語の本を揃えているだけならロンドンの本屋にでも行ったほうがいいわけだけど、エストニア・タリンならではなのが、バルト三国の英訳された本を豊富に取り扱っているところ。

バルト海

🧵本よりおもしろい店員さん

私はエッセイ本が好きなので、エストニアで女性が書いたエッセイ本があればいいなと思って、店員さんにおすすめを聞く。

たとえば、エストニア・ヴィリャンディに住む、アメリカ人著者のJustin Petroneみたいな赤裸々エッセイ本がいい!
彼はいろんな女性とデートしてることも書いてたから、と伝えると、店員さんは「あら、私も一回会ったことあるわ〜。でも、彼が女性とデートしてるっていうより、女性が彼とデートしてるのよ、ほほほ」と言ってて、それはもう脳内にメモしました。(He’s not dating women, Women are dating him!)

エストニア人女性にとって、イタリア系アメリカ人作家のJustinはエストニア人男性にない魅力があるのよ、と店員さん。

そう、ここの店員さんがなかなか面白い人だったのである。50代くらいのエストニア人女性。めちゃくちゃ正直&ユーモラス。

大学生くらいの青年がニーチェの本を探してて、「うーん、ちょっとどこにあるかわからないけど、色々見てみて〜、きっと面白いものが見つかるよ〜」って、客に完全に探すの任せてたりとか。
で、その青年がニーチェの本を買ったら、「これ読むの? それとも部屋に飾るの?」とか、聞きようによっちゃ失礼すぎることを素直に聞いてたりとか。でも、不思議と全然嫌な感じがしないの。この人が言うと。青年も「読みますよ〜」とにこやかに答えていたし。

エストニアの昔の写真のポストカードを買った観光客のカップルには、わざわざその写真が今のタリンのどこに当たるのか、地図を見せながら説明してたりとか、手厚い。

私が結局手に取ったのは、旧ソ連下のリトアニアで、社会を変えたいとか色々な理想がありながらも、何も叶えることができずに若くして死んだ男が、学生時代に出会った親友に固執しながら死後の世界から手紙を書くという本。Memoirs of a Life Cut Short

「これどうだろう?」ってその店員さんに言ったら、「うーん、それ良いっていうのは聞いたことないけど、どうかしらね〜?」とか、正直100%だった。
(ちなみに評判がいいのは、Soviet Milkという、旧ソ連下のラトビアで生まれた女性の小説らしい。これも読みたいかも)

「タリンのどこに住んでるの?」という話になって、私もこの店員さんもご近所さんだった。
「naabrid(ご近所さん)だ!」と私が言ったら、「あら、エストニア語できるのね〜」みたいに褒めてくれて、嬉しかった。

近所のよしみで、この書店オリジナルの本の栞をタダでくれた。

📖英語を学ぶために働く

私が普段何してるのか聞いてきたから、「日本のお茶を売ったりしてる」と言ったら、この書店に置いてある日本茶の本を持ってきて、「ここに書いてあることって本当なの??」と監査を頼まれた
健康効果とかリラックス効果とか、普通に正しいことが書いてあったから、「本当だよ〜」と。

「お茶のお店をやったらいいのに」と店員さん。
でも「家賃とか高いし〜」と言ったら、「エストニアのお店はよく移転するし、建物のオーナー的にも空き部屋があるより、お店が入ってるほうがいいから、家賃は交渉できるよ〜」と。

「そういう経緯でここも?」と聞いたら、「そう、この書店のオーナーの友人が、たまたまこの建物を見つけて〜」とのこと。
え、店員さんがオーナーじゃないの?!とびっくり。
私は英語勉強したくて働いてるの〜」と。

「えーもう十分うまいのに!!!」と私。

50代くらいの年齢で、言語を学ぶために働いてるって、とても尊敬できる。

本を売らないといけないプレッシャーとか責任もないし、いろんな人と英語で話すのも楽しいの〜」と。

あそりゃあんだけ正直に過ごせるわ。

「エストニア語の練習のためにあなたもお店で働いたらいいんじゃない〜?」と軽く勧めてくれた。その後、静かな男性が来店して、「これ私の夫よ〜」って。金曜で仕事終わりだから寄ったんだって。

もうめちゃくちゃこの人の人生いいじゃん!って思った。楽しく、やりがいのある仕事があって、英語の勉強もして。

 

Memoirs of a Life Cut Shortも、最近読み終わった。これは日々の楽しみになるくらい、面白かったね。
面白くないと本読めないからまず。これに関してもまた後で書こう。

 

こうやってたくさん喋ると、次にお店に行くの、ちょっと躊躇しちゃうんだけど……そういうことありませんか?
距離感がわからなくなるっていうか。でもまた行きたいな〜。

やっぱり、今住んでるところと何かしら関係がある本(旧ソ連とか)は面白いよ。
「あ、そんな価値観・歴史、私は知らないな〜」って思うもん。
たとえば、腐敗が当たり前すぎて、何も真実のない報告書を毎日書きまくって、どんどんそれが上手くなっていく主人公とか。

またバルト三国系の本を見つけに行ってみよう。

タリンに来た際は、ぜひ!

📍地図で見る:
Rüütel & Matilda(Googleマップ)

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