本屋さんでの再会
こんにちは。
さっき、またあの本屋さんに行ってきました。
そして今回も、あの正直でチャーミングな店員さんに遭遇。

そんなにしょっちゅう行っているわけではないので、覚えられてないかな、と思っていました。
でも本を買うときに、「最近の生活はどう?」とエストニア語で聞かれて、どうやら覚えていてくれたらしい。
ちなみにこの店員さんとは、エストニア語3、英語7くらいで話します。
店員さんがまずエストニア語で話して、私がポカンとしていると英語に切り替えてくれるという、これ以上ない優しい対応。
「今、引っ越そうと思ってて。それでこの本を読みたかったんです」と私。

1階ごとに建てられた世紀が違う家
すると店員さん、「なんで?追い出されるの?」と少し心配そうに。
「いや、もう何年も同じところに住んでるから、新しいところに行きたくて」
「また同じエリア?」
「それがいいんですけど、どうでしょう…」
「新しい建物は高いものね」
「でも、(店員さん)〇〇(海の近くの高くて有名なエリア)に住んでるじゃないですか!」
「私が住んでるのは新しい建物じゃないのよ。3階建てなんだけどね、1階は19世紀、2階は20世紀、3階は21世紀に建てられてるの」
「店員さんはどの世紀に住んでるんですか?」
「私は20世紀と21世紀の両方に足を突っ込んでるわよ。悪い状態の物件を買って、自分でリノベするのがいいわよ」
「店員さんも自分でやったんですか?コンストラクションワーカーなしで?」
「そう、私と夫でね。実は土木工学を学んでたの」
「まさかのehitaja(建物を建てる人)?!」
「そう、ehitaja。ふふふ。でも学んでたのはソ連末だから、もうずいぶん昔ね」
「まさに20世紀じゃないですか」
「1980年から85年だったわ〜」
仕事でも動いて趣味でも動く
そして話は移り変わり、店員さんがこの本屋さんをもうすぐやめるというニュース…。
「田舎に庭があって、その庭を完成させたいのよね。この仕事も庭もって二つ同時に進めるのは無理だから」
「庭って大きいんですか?」
「そんなに大きいってほどでもないの。200平方メートルくらい。エストニア人は庭いじりしたり、リノベするのが好きだから、私も超エストニア人って感じね」
「確かに。仕事でも動いて、趣味でも動いて、アクティブ(actiivne)ですよね」
「そう、じっとせずに、何か常に計画して、体動かして、そうすると健康でいられる気がするわ」
「確かに〜。」
「むしろリノベをさせてくれ!」家直しと植木は男のプライド
昔、物件を見ていた時に、キッチンがなくて、「ここにキッチンないんですか?」と不動産屋に聞いたら、
「ないけど、もし欲しいならIKEAかどっかで買ったやつを取り付け工事もできるよ。でもたいていエストニア人は自分たちでやりたがるんだよね〜」
なんて会話をしたこともありました。
DIYの範疇を超えている。
個々の家をリノベするような小さい仕事に対応する大工さんがあんまりいないのか?
それとも、そもそも「自分でやる」のが前提なのか。
前の会社の同僚が、「家直しと植木は男の仕事なのさ」と言っていた。
あとそういえば、むかーし昔、「田舎に家を建てたいけど、そのためには男手が必要だから、恋人探しをしなきゃ」と言っていたエストニア人の女性の友達もいたわ。無事恋人を見つけていたけど、家は建てたかな?
一軒家率が少ない。一軒家率は日本の約半分なエストニア
そういえば、昔読んだ本のことを思い出した。
元エストニアマフィアのボスの自伝(自費出版)なのだけど、ソ連独立直後は、一軒家を建てられるお金のある人はほとんどいなかったらしい。
みんな共同アパートに住んでいて、一軒家を建てる業者というのもあまりなく、このマフィアボスはわざわざスウェーデンやドイツから材料を手配したと書いてあった。
あと、いまだに、エストニアは一軒家率が低い。
エストニアの50万世帯以上のうち、15万4422世帯(27.5%)が戸建て住宅に居住しています。これらの世帯は39万855人で、エストニアの総人口の29.3%を占めています。Statistics Estonia: Housing arrangements
一方日本は
住宅を建て方別にみると,「一戸建」は2745万戸で住宅全体の55.3% 統計局:2-1 住宅の種類,建て方及び構造
タリンの私が住む地域にはほぼ一軒家がない気がする。(Kakumäeらへんにはあるけど、ここは例外的な高級住宅地)
アパートでも広いから不便ではないけど、土地を持ちたい、という欲望はあまり強くないのだろうか。
そういえば、エストニアには相続税がない、という話をこの間友達としていた。
特に南エストニアでは、資産といえば土地くらいなので、「そこに課税してしまうと、(すでに都市部と比べると貧しいのに)さらに貧しくなってしまう。それに、本当の富裕層はどうせ節税のスキームをするから、相続税なんてない方がいい」と言っていた。
日本、特に東京のように、家賃収入だけで毎月数億円、みたいな大地主は、エストニアにはあまりいないのだろうか。
そもそも人口が少ないから、そういう構造になりにくいのかもしれない。
賃貸ガチビジネスの大家さん vs 小さな個人大家さん。どっちがいい?
この買った本によると、イギリスでは5軒以下しか持っていない小さな大家が多数らしい。
だから大家自身も余裕がなく、建物が壊れても直さない、直せないこともあるとか。
タリンも、そういう小さな大家が多い印象がある。
今借りているところも、賃貸のノウハウがあるというよりは、普通のエストニア人の主婦(海外在住)。
借りる側としては、しっかり賃貸をビジネスとしてやっている大家の方が安心だけど、タリンではあまり出会ったことがない。
東京で住んでいたところは、その地域一帯を一人の地主が持っていて、管理もしっかり行き届いていた。
修繕もちゃんとされるし、お金に困っている感じもない。
ただ、その地主のビジネスの規模の大きさと私たちの生活の小ささの対比が凄すぎて、どこか「小作人」みたいな感覚もあった。封建制度ってまだ続いてます…?
でも、金持ちが自分の努力だけで成り上がったと誤解して、責任も果たさないような資本主義よりは、封建制度の方がまだマシだったのかもしれない、なんて思ったりもする。
…いや、でもそれだと移動の自由がないから、私はまだ江戸にいることになるのか?
このチャーミングな店員さんが働いている英語書店はこちらです。
家探しは永遠の課題ですね。なんて言ったって、定住民族なので。
昨年末にとある集まりで話したソマリランド人の人は、周りに移動民族がいたと言ってました。常に移動するなら、家探しの課題はないのかな?
では。

